花壇(かだん)とは|造園用語
英語:flower garden, flower bed
一般的には、庭園や公園等の一部に、あるデザインのもとに草花類を密(群)植した花床(f!ower bed)のこと。本来、樹木・花床・境栽・芝生・園路・プール(あるいはポンド)・噴水・彫刻・飾り鉢等が一定の計画のもとに設計・造成された全体を指していうのであり、したがって庭園(西洋)と同様な意味をもつものとなる。そして、庭園や公園内にこれらの施設をもった区域を花壇区とも称する。花壇の語は、外国では(flower garden (英)、Blumen Garten (独)、parterre (仏))などあるが、明道博は、前二者はいずれも花園を意味し、バラ・アイリス・ボタンその他の花卉を主体とした庭の意であるが、パルテールは構造的な一つの形式をもつ花園の一種で、これが最も花壇という語に近い意味をもつとしている。日本で花壇の語は、日本最古の園芸専門書として知られている「花壇網目」(水野元勝ほか、1681(延宝9)年)や、同じく古典である「花壇地錦抄」(伊藤三之丞(伊兵衛)、1695(元禄8)年) など、その書籍名として現れている。内容は観賞用草花や造園用植物(木本)の紹介説明、栽培管理(養土や肥培のことなど)等を解説したものである。フランスで有名なル・ノートル(A.LeNotre、1613〜1700)が行った花壇に刺繍花壇・仕切花壇・イギリス花壇・区画花壇・柑橘花壇・水花壇の6種類があり、これを特にル・ノートル式花壇という。このころ欧州で流行した花壇の植栽模様の一種に、結び目模様(knot)があり、このノットには open knot と closed knot の二種がある。現代の花壇にはいろいろの種類があるが、これを植栽材料・観賞の時期(季節)・形状・様式等によって類別すると、次のごとき名称をもって呼ばれる。(1)植栽材料の性状による花壇の類別:(a)1〜2年草花壇、(b)多年草花壇(宿根花壇・球根花壇、特殊なものとして、サボテン・多肉植物花壇などが含まれる)、(c)木本花壇(永久花壇と呼ばれる) (2)植栽材料の種類数による花壇の類別:(a)単権花壇、(b)混植花壇 (3)観賞時期(季節)による花壇の類別:(a)春花壇、(b)夏花壇、(c)秋花壇、(d)冬花壇、(e)永久花壇 (4)形状による花壇の類別 A.整形的な花壇:(a)円形花壇、(b)角形花壇、(c)帯形花壇、(d)混合形花壇 B.非整形的な花壇:(a)自由形花壇(自然式なもの、野園風下草的利用のものも含む) (5)様式による花壇の類別 A平面的な花壇:(a)毛髭花壇、(b)舗石花壇、(額縁花壇を含む)、(c)リボン花壇(縁花檀) B立面(体)的な花壇:(a)寄植花壇、(b)境栽花壇、(c)ピラミッド花壇(天幕花壇)、(d)ポール・フェンス仕立花壇、(e)擁壁花壇(壁面花壇を含む) D.掘り下げ式の花壇:(a)沈床花壇、(b)水栽花壇 E.建築物に関連する花壇:(a)屋上花壇、(b)屋内(室内)花壇、(c)テラス花壇(舗石花壇)、(d)壁面花壇、(e)ボックス花壇 F.移動式の花壇:ボックス花壇 G.石・岩をベースとする花壇:(a)ロックガーデン(岩石園)、(b)ウォールガーデン(壁園:擁壁花壇) H.水面(辺)をベースとする花壇:水栽花垣(水辺花壇を含む)