刈込み(かりこみ)とは|造園用語
英語:trimming pruning cutting
①剪定整枝(せんていせいし)作業方法の一つで、樹冠の全面を均一に刈込みばさみで剪定していくこと。刈込みは樹形を一定の型に仕立てるために行われる。刈込みされる樹木は、萌芽性に富み、強剪定に耐え、枝葉が密生する樹種が選ばれる。また一定の樹形にかたち作られたものを「刈込み物」、「仕立て物」といわれ、これらの形には、玉物・玉作り物・段作り・ろうそく作り・円柱形・円錐形・生垣などがある。刈込みの実施時期は、樹種や地方によって一様ではないが、一般的には新梢が、成長を休止した5〜6月と9月ごろの2回で、なかでも成長旺盛な樹木については、適宜行わないと樹形がくずれる。②芝生の美観維持と芝草の生理障害を除き更新するために行われる茎葉の剪除(せんじょ)作業。芝生の場合は芝刈りともいう。特にゴルフ場等の芝生においては、プレーの関係から年間頻繁に刈り込まれ、重要な管理作業の一つである。芝草は永い年代にわたる草食動物との共存関係から、食われる、刈り取られることに対して再生力が強い性質をもつに至っている。生長点は地際部や地表下等の低位にあり、葉先の刈込みによって生育に影響がなく、むしろ適度な刈込みによって生長は促進され、芝生は絨毯(じゅうたん)のように美しくなる。年に4〜5回の芝刈りを行ったコウライシバの芝生では、回転率(地下部も含めた全現存量で生産量を割った値)は100〜120%(自然の草原の回転率は30〜70%)といわれ、またその植栽面積に対して10倍の葉面積をもっても光合成は活発に行われ、生理的にマイナスにならないといわれることは密植に対して強い抵抗性があることを示している。しかし、刈込みを怠り伸びすぎて過繁茂となった場合、光線の透過や風通しが悪くなる。内部のむれは病虫害の原因ともなり、芝生は極めて悪い状況になる。ただし、回数多く短く刈り込んでいくと、茎葉はたえず短いということと平行して、根長も短く根数も減少し、分蘖(ぶんけつ)も次第に少なくなり、ちびてついには枯死に至る。適度な叢高の刈込みは、それがーつの刺激となって増殖率も高まり、ターフの形成が促進されることになるが、その反面限界を超すと急激に衰える。コウライシバを例にとれば、その大型の種類では2〜4週に1回、小型の種類では1〜4週に1回、大体10〜20日おきぐらいの刈込みで分蘖・根数が増加している。ヒメコウライシバで行った実験では、2cmの刈高ならば1週間に1回、3cmの刈高ならば毎日あるいは1日おきの刈込みでも芝のためには極めて良い状態で効果的と認められる。丸毛信勝の実験でも刈込量は、毎日刈ったものより10日に1度の割で刈ったものの方が多く、約3倍近い刈込量となっている。刈高については、ゴルフ場のグリーンで4.5〜6mm(7.0mmは限界)、ティーで10〜12mm、エプロンで15〜18mm、フェアウェーで20〜25mm、ラフで40〜50mm程度に刈られるようであり、ホッケ一場では10mmくらいまで、サッカー場では20mmくらいの刈高が要求されている。ラグビー場では刈高に規定はない。公園や住宅団地・工場などの芝生では20〜30mmの範囲で刈り込みたい。一般に見た目にも美しく芝自体のためにも良い刈高は20〜30mmで、30mm以上にはあまり伸ばさない方がよい。50mmを超えると芝は荒れた感じになる。叢高が70〜80mm、あるいは100mmともなると刈込み作業の能率は落ち、しかも刈り跡の状態は茎(稗)ばかりになって著しく美観を損なう。ただし、ケンタッキーブルーグラス類は他に比べて深刈りに抵抗力がないので、25〜30mm以下には刈らないよう注意が必要。 すべて1度に深刈りすることは慎む。刈込み回数は、日本芝(コウライシバ)の場合は5月中旬〜9月中旬、特に7〜8月が生育旺盛であり、西洋芝(ベントグラス)では4〜6月および9〜11月が盛んな生育をするので(東京標準)、その期間に特に刈込み作業が頻繁に行われる。ゴルフ場のグリーンでは、ヒメコウライシバで約7か月の生育期間中約70回内外、ベントグラスでは年間120回内外も刈られるのが現状で、平均すると3日に1度刈られる計算となる。したがって、生育旺盛な時期には毎日あるいは週4〜5回刈り込まれ、ティーやエプロンなどでは週2〜3回、フェアウェーでも週1〜2回は刈られる。なお、コウライシバの場合、家庭の芝生では5、6、7、9月に各1回、8月2回の計6回程度。同じく庭園や公園の芝生では 5月1回、6月2回、9月2回、10月1回、11月0〜1回、計11〜14回程度の刈込み。同じく芝生フィールド等では家庭芝生の3〜4倍、18〜24回程度には刈り込めるような芝生に管理したい。前記6回の刈込みの場合、年間3回の施肥と1回の目土入れは必要である。刈込みには水平式(芝を地表と平行に刈る)と垂直式(バーチカルモアー:芝生面のグレインやサッチを掻き出し、密生した根茎を切断して芝生の更新を図る)の機械がある。普通の面刈りのものは水平式のモアーで、ローンモアーと呼ばれ、刈刃の機構から、リール(シリンダー)式、ロータリ一式、レシプロ(バリカン)式とに分けられ、また手動型、自動型、牽引型などにも分けられる。