観光計画(かんこうけいかく)とは|造園用語
英語:planning of tourism
ある地域において、来訪者、地域住民、観光企業の三つの主体の観光行為を活発にしたり、その地域の資源の保護・育成・利用をしていく計画。観光は人間の文化活動の一種であり、人間の目的的な活動であることから、地域としての理想を追求したり、総仕上げをしていく計画となる。そこで、地域の人々の生産活動・生活・学習・遊びと密接に関係し、補完と競合が発生する。例えば、地域の自然を観光に利用しようとすれば、産業としての農林業に制限が発生したりして競合する。逆に森林そのものが景観や環境の要素として観光に役立ち、補完関係が成立することもある。歴史的、宗教的な資源も地域の人々の信仰と関係が深く、観光利用によっては補完と競合とが新たに評価されることもある。観光計画は三つの主体において、観光の効果、経済の効果、交流の効果を目的として立案され、実施される。観光計画は物的な計画と非物的な計画がある。また地域の広がりによる規模の大小の計画もある。それゆえ観光計画は多種多様である。原型的な分類としては次のようになる。(1)観光資源を保護育成しつつ利用に供するようにする観光対象計画、(2)複数の観光対象を結合してより興味を深化させる回遊計画、(3)観光対象と利用施設の集積されていく観光地の計画、(4)観光行動中に要求される休憩飲食施設計画、(5)観光日を重ねるための宿泊施設計画、(6)消費物資、耐久消費財、土産品などを供給する観光物産計画、(7)人的なサービスを提供する観光接遇計画、(8)観光者を誘致するための観光宣伝計画、(9)観光の意義・役割を広く理解させるための啓蒙計画、(10)観光産業ならびに従事者のための観光研究と教育の計画などがある。以上のものを総合したものとして、観光開発計画と観光経営計画がある。観光計画の基本は、観光者を魅了する誘致力と滞留の魅力をつけることである。そのためには観光対象が個性をもち、容易に模倣されない魅力を育成しなければならない。その基本は自然と歴史と文化の尊重であり、長期的ビジョンとロマンをもって、計画の立案と実施にあたらなければならない。観光の評価の最大なものは最優価値であり、希少価値・特色などと類似している。観光対象を利用するための施設は、対象と補完条件をつくり出すようにしなければ、他の観光対象との競合に負けることとなる。今日、移動手段の発達と普及により、観光者の選択は広域化している。そのためにも、この基本は観光計画として守らなければならない。